生活習慣病
生活習慣病とは、生活習慣が原因で発症する病気です。
偏った食事、過度の飲酒、喫煙、運動不足、精神的あるいは身体的ストレスなど、よくない生活習慣や環境などが続くことによって発症の危険が高まります。
生活習慣病には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病があります。
これらを放置すると、血管(動脈)や脳、心臓などに影響が及び、脳血管障害(脳梗塞)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、末梢動脈疾患などを引き起こします。
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日本臨床 61(10) p1837(2003)「メタボリックドミノとは」伊藤裕先生 |
高血圧症、脂質異常症、糖尿病などと診断されたら、症状の有無にかかわらず食事や運動など生活習慣を見直し、修正、改善を行い、生命に関わる合併症の予防に努めることが大切です。
辻クリニックでは、「血管の健康」をキーワードに生活習慣病の診断(各種検査)、治療を行っています。そして、動脈硬化の進行をできるだけ防ぐことにより、脳卒中・心筋梗塞などを予防し、また末梢動脈疾患から下肢の症状の改善を図ります。
高血圧症
高血圧症とは
血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力のことです。
高血圧とは、安静状態での血圧が正常値よりも高くなった状態をいいます。
血圧が上がるしくみ
血圧が上がる要因から2つのタイプに分類されます。
- 血管収縮タイプ(いわゆる、ギューッと型高血圧)
血管が過剰に収縮することによって血圧が上がるタイプで、自律神経が過敏な人に多いとされます。
- 血液量増加タイプ(いわゆる、パンパン型高血圧)
循環している血液量が多いことによって血圧が上がるタイプで、食塩を取り過ぎている人に多いとされています。
高血圧症の原因
高血圧症には、原因のはっきりしない本態性高血圧症と、何らかの特定の原因によって引き起こされる二次性高血圧症があります。
- 本態性高血圧症
日本人の高血圧症患者は、約4,300万人いるとされています。その85〜90%は原因のはっきりしない本態性高血圧症です。
遺伝的要因(体質)、塩分過多、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などが原因になり発症すると考えられます。
- 二次性高血圧症
高血圧症の10〜15%は何らかの原因がある二次性高血圧症といわれています。
ホルモン分泌異常、腎臓・腎血管障害、睡眠時無呼吸症候群、薬剤の副作用などが原因で起こると考えられます。原因を取り除けば、血圧低下が期待できます。
辻クリニックでの高血圧症診療方針
辻クリニックでは、「高血圧治療ガイドライン2019」に沿って患者さん個々の状態応じた診療を心がけております。
- 家庭血圧の測定・記録を重視する
- 生活習慣の修正・改善を徹底する
- 常に血圧上昇の原因を探る(二次性高血圧症を念頭に置いた診断)
- 不整脈、弁膜症、心不全などの合併に注意する
- まず薬物治療ありきではなく、降圧薬は状態に応じてこまめに調整する
辻クリニックでの検査
初診時には、問診、身体測定、血圧測定などを行います。
血液検査、尿検査、心電図、胸部X線検査なども行います。
- 24時間自由行動下血圧測定(ABPM法)
血圧測定装置を装着して、30分〜1時間ごとに血圧を測定するものです。これで1日の血圧の変動(日内変動)を知ることができます。
早朝高血圧の有無、就寝中の血圧の状態など、高血圧症の診断、治療方針に役立てます。
また、薬物治療を行っている場合にも、効果判定、薬剤変更の判断の参考になります。
- ホルター心電図
高血圧を有する方は、往々にして不整脈を有していることがあり、特に心房細動の発生には注意が必要です。また、狭心症や睡眠時無呼吸症候群を合併している場合もあります。
ホルター心電図は、携帯型の小さな心電計を装着し、24時間に渡り心電図を記録します。
このホルター心電図の記録を解析することで、日常生活での心臓の動き、波形の変化を調べることにより、高血圧症の合併症の有無を早期にチェックします。
- 睡眠ポリグラフ検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる、あるいは1時間に5回以上無呼吸・低呼吸がある場合に診断されます。
家族から大きないびきをかいている、日中に強い眠気を感じる、集中力や気力が低下している、居眠り運転を思想になったなどがある場合には、SASを有している可能性があります。
さらに、SASは二次性高血圧症の原因の一つとされています。
辻クリニックでは、高血圧症の診断時に睡眠のチェックを行うこととしています。
重症のと診断した場合には、呼吸器内科専門医に紹介し、適切な治療を受けていただいております。
脂質異常症
脂質異常症とは
工事中
糖尿病
糖尿病とは
工事中
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、慢性動脈閉塞症)
末梢動脈疾患とは
過去には閉塞性動脈硬化症あるいは慢性動脈閉塞症とも呼ばれていました。
末梢動脈疾患は、脚の血管に動脈硬化が起こり、狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなり、脚にさまざまな症状を引き起こす病気です。
末梢動脈疾患は、気づかない間に徐々に進行します。
初期の段階では、下腿部や足趾の冷えや軽いしびれ感で放置することが多いです。少し進行すると、いくらか歩くとふくらはぎにだるさや鈍い痛みを感じるようになりますが、しばらく休むとまた歩けるようになる(間欠性跛行といいます)ので、なかなか異常に気づくことは難しいと言われています。それでも放置していると、じっとしていても痛みが出たり、皮膚潰瘍や壊死を生じ、重症化してから末梢動脈疾患と診断されることも珍しくありません
末梢動脈疾患は、脚の血管だけに限定した病気ではなく、あらゆる血管に動脈硬化が進行した「全身病」と捉えておくことが重要です。
脳血管障害(脳梗塞)や虚血性心疾患(心筋梗塞)を発症し、生命の危機に陥る可能性があると考えておかなければなりません。
- どのような人がかかりやすい?
男性、中年以降(50歳以上)、喫煙者です。
動脈硬化を進行させる高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病など生活習慣病、運動不足、肥満など、いわゆるメタボリック症候群の方は特に注意が必要です。
- 末梢動脈疾患の診断
まず、診察室で病歴を聴いた後、脚の色調の変化や冷たさを観察します。そして、脚の付け根から足の甲までの動脈拍動の強弱を触診で確かめます。
検査としては、ドプラ血流計や脈波計などで脚の血流を測定します。
特に、足首と上腕の血圧の比(ABPI)を獲ることによって動脈の詰まり具合の判定を行います。血管年齢の推定も行えます。
そして、超音波検査で腹部大動脈から足先の動脈壁の性状(厚さ、石灰化など)、狭くなったり閉塞したりしていないかなど、詳細に観察していきます。最終的には、造影CTや血管造影などで治療方針の決定を行います。
- 末梢動脈疾患の治療
- 生活習慣の改善(食事・運動療法)
基本になる治療です。血圧や脂質、血糖のコントロールが重要です。
運動により側副血行路の発達や血管拡張により、下肢血流の改善が期待できます。
禁煙は絶対条件です。
- 薬物療法
血管拡張剤や抗血小板剤・抗凝固剤(いわゆる血液サラサラ治療)を服用して血流の改善を図ります。手術後にも行います。
- 血行再建術
血管内治療や手術(バイパス手術など)があります。
最近は、デバイス(治療用具)や治療手技の向上もあり、ほとんど血管内治療(ステント治療など)で血行再建が行えるようになっています。
治療の適応があれば、関連病院の血管内治療専門医に紹介します。
バイパス手術等の適応があれば、院長が関連病院に出向き執刀しております。
末梢動脈疾患は、効果的な治療方法がある病気です。
血管外科医(循環器専門医)の診断で、最も敵した治療方法が選べます。
ご自身の生活習慣を見直すことも忘れないでください。