年々気温が上がっている日本の夏。気温の上昇に比例して、熱中症や脱水症状で搬送される患者様も全国的に急増しています。少しの油断が命取りになる脱水症は、素早く見つけてすぐに対策することが非常に重要です。
私たちのカラダの半分以上は水分でできています。この水分は体液と呼ばれ、カラダにとって大切な役割を担っています。体液は主に「水」と「電解質(塩分など)」でできており、脱水とはカラダから体液が失われることで起こります。
脱水症になると、めまいや立ちくらみ、頭痛、意識消失、食欲低下、嘔吐、下痢、しびれ、筋肉痛などカラダに様々な変化が現れます。
| 症状 | 解説 |
| ①手がいつもより冷たくなる | 脱水症になると、血液は生きていく上で重要な臓器に集まります。そのため、手足等には血液がいかず冷たくなります。 |
| ②舌が乾いている感覚が強い | 脱水症になると、唾液が減少し舌の表面も乾いてきます。 |
| ③つまんだ皮膚がつままれた形から3秒以上戻らない | 皮膚には水分がたくさん含まれていて弾力性がありますが、脱水症では水分が減り、弾力性もなくなります。 |
| ④押した親指の爪先の赤みが戻るのに3秒以上かかる | 指先は血管が細かいので変化が出やすい部位です。 |
| ⑤脇の下が乾いている | 通常、脇の下は汗による潤いがあります。脱水症になると、汗が出なくなり脇の下が乾燥します。 |
下記のような症状がないかチェックしてみましょう。少しでも該当する場合は早めに対処が重要です。
脱水症になってしまったら、水と電解質(特に塩分)を速やかに補うことが大切です。最も効果的な方法は、経口補水液を摂取することです。
経口補水液とは、水と塩分と糖分をバランスよく含み、カラダへの速やかな吸収に優れた成分になっています。
スポーツドリンクは、体液に近い浸透圧(水に溶けている糖分・塩分の濃さ)にすることで体内へ素早く吸収し、身体の疲労・回復を助けますが、飲んだ時の口当たりを良くするため、経口補水液と比べると塩分が少なく糖分が多くなっています。そのため、スポーツドリンクの飲み過ぎが問題となっていて、“ペットボトル症候群”と呼ばれる高血糖症状(吐き気、腹痛など)を引き起こす場合があります。
一方、経口補水液はスポーツドリンクと比べて糖分は少なく塩分が多くなっています。したがって、素早く水分・塩分の補給を行えるのですが、そのままでは美味しいと感じないかもしれません。そのため、市販の経口補水液は色々な味付けの工夫をすることにより、比較的飲みやすくなっています。もちろん、こちらも飲み過ぎには注意が必要です。
飲む量の目安は成人で1日500~1,000mLです。
1Lの水に、塩3g(小さじ1/2杯)、レモン汁(小さじ2杯)、砂糖40g(大さじ4と1/2杯)を加え、混ぜて溶かして完成です。
自宅でも簡単に作ることができますので、緊急時には試してみてもいいかもしれません。
※ 注)糖尿病の方や甘いものが苦手な方は砂糖を抜いてください。(糖尿病患者の方で、どうしても甘味が欲しい方はパルスイートをお好みで入れてください)
いかがでしたでしょうか?今回は夏で最も注意したい脱水症についてご紹介しました。なにより大切なのは早めの気づき・対策です。少しでも似た症状を自覚したら、すぐに休息を取る、あるいは病院を受診するようにしましょう。
